12月14日に、日本へ帰ります。


私の愛したこの国と街街に、感謝。
ここで出会えた人たちと、素敵な思い出に、感謝。
これからの約1ヶ月は、とても大切な時間になるでしょう。


さて、これからが次の旅路かな。

ロンドンの夜景。夜のテムズ川はなんだかパリのセーヌ川を思わせるものがある

元写真家Johnnyとの出会い

4月のある日、いつものように出かけた帰り道にPrimrose Hillを歩いていた。夕日と木々の影が作る光のグラデーションが美しく、みとれていたら、自転車を引いて歩いていた初老の男性に声をかけられた。

「美しいよね。今の季節にしか味わえないものだ。ぼくらはいま、世界で最も美しい場所のひとつにいると思う。」

自分が思っていることをそのまま言葉にされたようで驚いたが、そのまま少し会話をした。建築学を勉強したが、職業としては元々はプロの写真家。だけど、最近のデジカメは自分の思うような色を出してくれない。どうすれば思ったようなものが描けるか、と思った末、画家に転身した、ということだった。手持ちのiPhoneでいくつか作品を見せてもらう。実にカラフル。音楽を奏でる「人」を描いていた。
また会いたい、と思わせる人だった。咄嗟に、名前を聞いて、ついでに連絡先までもらってしまったのだった。

そしてひと月が過ぎ、私は彼にもう一度会った。Primrose Hillの目の前にあるフラット。彼のアトリエである。
天井まで続く大きな本棚、部屋中に飾られる彼の作品、古いMacのパソコン、家族の写真、小さなテーブルと不揃いのイスが4つ、部屋の奥には小さなキッチン。恐らく建物はすごく古い。だが、大きな窓から差し込む光と、部屋に存在するモノが、よい雰囲気を作り上げていた。

部屋に入ると、彼は簡単なランチを出してくれた。Beetrootのスープと、トーストしたライ麦パン。深紅のスープと緑のプレート。なんだかアートになってる。

それからは、いろいろな話をする。最近のこと、家族のこと、お互いの文化のこと、などなど。何を話すかも特に決めずに、おいしいものを食べながら多様な話題に触れるのは楽しい。65歳という、自分の父親よりも年上の男性とこうして出会って、こうして話せる奇跡。ううん、なんだかやっぱりロンドンは不思議な街だ。

帰りがけに、彼の作品集にサインをしてくれて、それをもらった。
私が就職活動をしていることを知っているので、"To Emi, with fond best wishes" とも添えてくれた。作品集の題名は"Alegría". ポルトガル語で、喜びという意味。ブラジルの街や人を題材にしている。

彼は来月から4ヶ月、奥さん(彼女もアーティスト)とともにフランスで生活する。作品作りとバケーションのようなもの、らしい。
私はといえば、8月まで就活して、よい結果が出なければ帰国する覚悟でいる。そうなれば、彼には当分会えないかもしれないな。

「君は、どこかに決まりそうな気がするけどね」

ありがとうJohnny。頑張るよ。


その日の朝のSt John's Wood駅近く。ハトがひなたぼっこしながら寝てる

Primrose Hill

私のロンドンの住まいの近く(といっても歩いて15分くらいはかかってしまうが)には、Primrose Hillという丘がある。


ちょうど青くふちどったところがPrimrose Hillである

Regent's Parkリージェンツパークのちょうど北に位置しており、市民の憩いの場になっている。公園というわけではないので、レジャー施設も整備された花壇もない、芝生と木々に覆われた人工の丘である。
ロンドン交通の基準でいうZone2に当たる地域だけに、観光客が訪れることはなかなかないかもしれないが、周囲はセレブも住んでいるような高級住宅街だし、この付近には洒落たお店も多い(値段も高い)。
なだらかな斜面の園内には芝生が生え揃い、四季に合わせて木々がその表情を変えていく。丘の上まで昇ればロンドン市内中心部の様子が一望できるため、年末の花火を観にここへ訪れる人も多い。

初めて訪れたのが今年の元旦、イギリスで知り合った日本の家族と言えるような、姉弟のように仲良くなった3人で訪れた。2回目はその中の1人と2月に。3月以降は、自分1人でしか来ていない。ちょっと特別な場所にしている。


晴れた日のPrimrose Hill

私はこの丘が好きだ。
自宅から南東方面へ出かけるとき、私はここを必ず通ることにしている。同じ丘だけど、そのときどきでいろんな雰囲気に出会える。

平日の朝はジョギングする人と、手をつないで散歩する親子、ゆったりとベンチで本を読むおじいさんなんかがいる。お昼はサンドイッチ片手に休憩する社会人。夕方は元気に遊ぶこどもたち。
週末は一日中人が沢山いて、芝生に寝転がる人、ピクニックするグループ、絵を描く人、サッカーボールで遊ぶ親子・・・と、本当にいろんな人が丘を訪れる。誰にとっても居心地のいい場所なのだ。

4月が終わる

久しぶりの更新です。現状、まだまだ就活中なことに変わりはないのですが、少しは普段の生活についても書いていこうかなと、なんとなく再開。

ロンドンは4月中旬に急に春めいてきて、一時は気温が25℃を上回る、日本で言う「夏日」が一週間ほど続いていました。去年はもっと涼しい春だった記憶があるのでこれにはびっくり。夜はさすがに涼しくなりますが、日中はジャケットなどいらないほど。この時期は東京より暖かかったのかも。

そして今年はイースター休暇とロイヤルウェディング(29日)+通常の土日祝日をくっつけた11連休を取る人が多く、なんとも国中がゆったりした時間を過ごしているのでした。イースター(キリストの復活祭)休暇は毎年日にちが違いますが、今年は以下の通り

  • 4月22日 Fri Good Friday
  • 4月23日 Sat Easter Saturday
  • 4月24日 Sun Easter Sunday
  • 4月25日 Mon Easter Monday
  • 4月29日 Fri Royal Wedding
  • 4月30日 Sat 通常の土曜日
  • 5月1日 Sun 日曜日だけど本来ならメーデー(May Day)
  • 5月2日 Mon May Day (前日の振替休日)

ということで4/26-/28の三日間をお休みにしちゃえば見事に11連休。その間は通常営業する企業やお店もありましたが、ところによってはずうっとお休みしているところも。Royal Weddingは今年だけの特別な祝日でしょうが、最初の四日間はこの国ではとても大切な祝日らしく、特にEaster Sundayはロンドンであっても沢山のお店が閉まっておりました。(まるでChristmas Dayのようでした)

そして今日は4月最後の日。4月は本当なら1年で一番好きな月。桜が咲き乱れ、一斉に新年度が始まる。新しいことを始めたくなる、踊るような気持ちで外に出たくなっちゃう素敵な季節。そしてそして、25年前、母が私を産んでくれた月。今年の誕生日といえば、特別なイベントが何かあったわけではないけれど、親しい人たちがささやかに祝ってくれたのでした。ひとりひとりに、感謝したい。

そんなときだから、本当は気持ちよくいろんなことを楽しみたかったけれど、一方で今年はちょっといろいろつまずいたり、、。
ここ1、2ヶ月は辛いことも哀しいこともあったなぁ。いつでもポジティブに、元気に生きていたいとは思う。でも今回はそれがとてもとても自分には難しいことに感じたのでした。一日中ベッドでうずくまっていなければいけないときもあった。電話やメールを全て無視した日もあった。何も食べられない日だって。イギリスに来て、一番しんどい時期でした。

でも、明日からは5月。遅らばせながら、自分の中では5月から春、と思いたい。ネガティブなことは4月終わりの今日でしばらくお休みしたいな。これを乗り越えたらきっと良いことが待っている、そんな気がするのです。
少しずつ、このロンドンという街にも愛着がわいてきている今日このごろ。私の愛するこの街を、これから少しずつリポートできればいいなぁ。


春のAngel (Islington) London

ロンドンでの就職活動とその方法

いよいよPost Study Workビザが下りて、就職活動もここ数週間でいくらか続けている。
これまでだと、インターネット広告に載っていた不動産業のポジションに2つ応募し、オファーが頂けそうなお話であったが、自分の思っていた就業条件とに少しギャップがあったため、辞退を申し出たことがあった。
自分自身、この国で自分のバックグラウンドを活かすにはどのような職業が適しているか、またそれでもって、どのような職が今市場に流れているのかがはっきり見えていなかった。最近はそれを模索しつつ、もう少しエージェントが間に入っているしっかりとした求人情報サイトにCVを登録していた。

イギリスで、おそらくよく利用されているサイトは以下のもの。

いずれも新卒、中途、契約、パートタイムなど様々なタイプのポジションの広告を掲載している。登録すれば毎日のように求人情報を流してくれる。ただ、いまいち自分の思っている条件の職業をあまりうまくマッチングさせて情報を流してくれていないような気がする・・・何故だろう。

日本人であるというadvantageを活かすのであれば、日本語のスキルを必要とするポジションに応募するという手がある。reed.co.ukのようなサイトでキーワードにjapaneseと打ち込むだけで、そのような広告が出てくる場合もあるが、language skillに特化した就職情報を載せているサイトもある。↓

などなど。

このようなサイトを利用して一つずつ情報を自分で収集していくのは、なかなか楽しいものではあるが、日によっては全く収穫がなかったり、ただ時間を費やしてしまう場合があったりして、今月中には就職を決めてしまいたい自分としてはこの非効率なやり方を改める必要があるなと考え始めた。

あまり意図していた訳ではないが、CVを上記のようなサイトで登録したところ、見知らぬ番号から電話が来ることが増えた。彼らは皆、就職エージェントである。「あなたに紹介したいポジションがありますが、いかがでしょう?弊社まで一度お越しいただけませんか?」のようなお話が多い。
聞いたところ今まで自分で見ていた求人情報にはなかったポジションなどの情報を彼らは持っていて、話を聞くだけでも何か役立ちそうだと感じたので、実はこれまでで2社のエージェントに登録させていただいた。また、今日もう一件そういう電話があったので、来週面談に伺う予定。

今日聞いた限りでも、応募したいと感じたお話がいくつかあったので、これからに期待したい。また、PSWビザの場合はtemporary/contractのポジションが応募対象になるため、割とすぐに採用に結びつくことが多いとのこと。
Parmanentのポジションに就けないのは残念だが、今のビザでは2年しかここにはいられないので仕方ない。もう少し早くイギリスに来ていれば話は違うのだろうが、4月からの移民法の改正で、2年後にビザが延長できる可能性がかなり低くなると予想されるため、近い将来日本に戻らなければならなそうだ。今から考えるのは少し気が早いかもしれないが、ここでは最大限によい経験をして、今後に結びつけられるように頑張りたい。

この2ヶ月のこと

ロンドンは、気温こそまだ低い(6,7℃〜13℃くらい)ものの、水仙やクロッカスの花が咲く、春らしい風景が見えるようになってきた。
本当はもう少し前から既にそうだったのかもしれない。というのも、ここ二ヶ月はほとんどの時間を、第二の故郷というべきか、大学院時代を過ごしたシェフィールドで過ごしていたからだ。

まず、1月にはシェフィールド大学の修士及び博士号授与式(卒業式)があった。
約4ヶ月ぶりにクラスメイトと再会し、楽しい時間を過ごした。

単位こそ落とさなかったが、最後の修士論文でかなり苦労したので卒業が少し不安だったけど、無事にMA Town and Regional Planningのdegreeを取得。論文のスーパーバイザーになってくれた教授にも挨拶。8人の留学生のうち無事卒業できたのは半分の4人。よく頑張ったね、論文よかったよ、と言ってくれた。

1月中旬、その頃はロンドンに戻っていた。去年からすごく親しくしていた友人が、一時帰国していた日本からイギリスに戻ってくることになっていたので、ヒースローまで迎えに行き、その後は彼1人でシェフィールドに戻った。しかし、日本から戻った彼はどこか元気がなかった。その後常に体調が悪そうだったので心配していたが、ついに1月下旬には1人で生活することがなかなか困難になっていた。持病が再発したということだった。

1月下旬、通訳のアルバイトを終えてすぐに私はシェフィールドに向かい、しばらく彼のところで一緒に過ごすことになった。少しずつだけれども体調が良くなっていったので少し安心。けれども大学院の授業を受けたり課題を提出するほどのエネルギーを使う余裕はない様子で、学部に相談し、更に病院に行き、休学することを決めた。学生ビザで滞在している彼にとって、授業に出て課題を出すことは義務である。大学側からの説明では、休学すると決めた以上は、英国内には居られないという話だった。いろいろな手続きや準備があるだろうから、これから4週間までは猶予がある。しかし4週間経ったタイミングで出国しなさいと。

4週間というもののその手続きは最後まで大変だった。
学部では休学申請を大学に渡してくれたが、その後の手続きはほとんど助けてはくれない。休学している間の大学のパーソナルアカウント、銀行、ビザはどのようになるのか。全て自分で頭で考えだした質問だが、こちらから質問しないかぎり情報は出してくれない。質問しても答えられないことがあると、他の部署の連絡先を教えるからそちらに聞きなさいと言われる。

一番苦労したのは、寮の契約を中断する手続きと、荷物。
GPと言われるNHSの医者からの診断書、大学のオフィスからの正式な休学の承認書、こちらからどのような理由で、いつ寮を出て、どのくらいのお金の支払い義務をキャンセルしたいかを書いた手紙、全て自分で用意する必要がある。
荷物は、一年後に戻ってくるから日本に送るものと残していくもので分けて、更に預ける場所を探さなければならない。いずれも量は膨大で、パッキングも移動も時間と労力を費やした。

私が思ったのは、medical groundsで休学を申請しているのだから、体力的な制限があるのは想像できて当たり前。大学の授業に出られない程体調が悪いのだから、こんな事務手続きなんてまともに1人でできるわけがないのだ。
私は今回手助けできたかもしれないけど、それでも余裕がない程。イギリスの事務手続きはかなりゆっくりだ。こちらが急いでもあちらは急いでくれない。
もやもやしたまま過ごす日が多かった。

3月2日、ついにというべきか、彼はヒースロー空港から日本へと旅立っていった。来年の1月まではビザの関係で英国には入国できない。ぎりぎりまで荷物や事務手続きとの闘いだった。体調も優れないのに、本当によく頑張ったなぁと思った。ただ、しばらくイギリスを離れるのに、ゆっくり過ごす余裕がなかったのは本当に残念だった。もっと一緒の時間を楽しく、ゆっくり過ごして帰ってもらいたかったのに。

一方の私は、2月の中旬にTier1 Post Study Workのビザが下りて、2013年2月まで英国に滞在できることになった。これからは、本格的に就職活動再開である。
大切な友人の1人である彼がいなくなったことで私の精神面もあまり優れないが、これをバネに今月は頑張って就職活動をしたいと思う。そして、少しでもいいので今年は日本に帰りたい。いつも心配してくれている家族と、彼に会いに。


春のリージェンツパーク

ずぅっと更新が滞っていた当ブログ。
大学院も無事卒業し気持ちも新たにロンドンで就職活動をすることに決めたことをきっかけに、ブログも再開します。

トピックはロンドンやら仕事やらに関わらず多岐に渡る予定。
もう少し自由に自分を、自分の思っていることを、自分が学んだことを表現できることを祈って。

2011.1.11 St John's Woodのフラットにて