Lewis Watson, SSW

今では本当にたくさんの音楽を日常的に聴いているけれど、今日はとある男性シンガーソングライターを紹介したい。
名前をLewis Watson、オックスフォード出身の19歳である。


彼は2年程前から音楽活動を初め、1年前からライブ活動を英国内で行っている。私が彼の存在を知ったのは約半年前のことだ。当時、同じく英国人SSWのBen Howardの音楽がとても好きで、YouTubeで彼の映像を探していると、Lewis WatsonがBen HowardのOnly Loveという曲をカヴァーした映像をアップしていた。


これがその動画

これを聴いて、Ben Howardのような癖のある唄い方をよく真似ているなと思うのと同時に、彼の声がとても気に入ってしまった。

よくよく調べると、既にインディーズ活動でEPを発売している、ちゃんとした歌い手さんのようだ。公式ホームページも結構前からある様子。

http://lewiswatsonmusic.com/userimages/merch%282687728%29.htmより


彼のtwitterをフォローする人はこのブログを更新した時点で35,000人を超えているし、彼のFacebookページには同じく23,000人を超える人がlike(いいね!)をクリックしており、その人気ぶりが伺える。

最近では英国のロックフェスのインディーズコーナーに出演したり、Bon Iverのカヴァー等で知られる15歳の英国人歌姫Birdyのgigでの前座を務めたり、オーストラリアに突然ツアーに出かけたりしている。英国内の全国ツアーのチケットは軒並みSoldoutになる始末。この人気はなんだろう?日本での知名度は限りなく低い、というか、無名に近い。でも、流星の如く世界デビューし、売れまくる日ももしかしたら近いのかもしれない...。


彼のファン層は10−20代くらいの女性が大半なようだ。
歌詞は恋愛的内容なのだが、どこか女性目線だ。ただ、唄っているのは軽やかにギターを弾き、魅惑的な声で独特なメロディーを奏でる若干19歳の男性だ。話しているときと唄っているときの雰囲気のギャップも、なんだか微笑ましい。

彼の新作"Calling"がとてもよかったので是非聴いてみてほしい...



現在は主に英国内で活動する彼。音源もiTunes UKもしくはiTunes.comでのみの扱い(iTunes Australia?にもあるような気がする)だが、そのうち世界に広がっていくのかもなぁ。

そんなだから、iTunes UKのアカウントがいつまでも捨てられない!

音楽を聴く

音楽は小さいときから本当に好きで、兄や妹と同じ音楽を好きになっても、自分が貯めたお金でCDを買って自分のところにだけ持っていたいくらいだった。

外国の音楽を聴くようになったのは中学生のとき。生徒会で一緒だった先輩に影響を受けて。それでも、クリスティーナ・アギレラとか、ステイシー・オリコとか、女性のR&Bアーティストばかり聴いていたっけ。先輩の薦めるRadioheadの良さはまだ分からなかった。今となれば、とても懐かしい(というか、中学生でRadioheadとか、どうやったら聴くようになるんだろう)。



音楽に凝りだしたのは、高校生のとき。英会話教室のイギリス人の先生にSigur Rósを薦められて、「こんな音楽があるんだ...」と衝撃を受けた。世界にはいろんな音楽があって、いろんな言語で唄われている。楽器や音の出し方も多種多様だ。洋楽情報誌を読んだりして、とにかくいろんな音楽を聴いていた。

大学生になってからはカナダ、アメリカ、北欧のロック、インディー音楽を主に聴いていた。音楽雑誌は読まないようになったが、その代わりインターネットでいろんな情報が入ってきた。大学で知り合った友人から音楽を薦められたりもした。



それでも、なんとなく、音楽はふわふわした存在だった。英語の歌詞もろくに分からなかったし、誰の来日公演にも行かなかった。



そういう意味では、イギリスで過ごした2年半はわたしの音楽生活を大きく変えてくれた。まず、イギリスには世界中から多様なアーティストがライブをしにやってくる。そして、チケットが日本より割安だ。小さなライブハウスなら1000円足らずで入場できるし、Arctic Monkeysのコンサートチケットだってロンドンのアリーナで4000円弱だ(昨年秋の記憶)。日本にやってくることがないアーティストだってイギリスにはくる。ということで、イギリス、特にロンドンに住んでいた1年半の間には5回くらいライブに足を運んだ。

日本に帰国すると、やはりそういう生活は難しい。なかなか自分にとって魅力的なアーティストが来日してくれないし、そうだとしても、チケットがやはり高い。そして英語をあまり理解しない日本人の前では、彼らは誰しもMCが少ない...。とても残念だ。

そんなわけで、やはり音楽で溢れ返る国、イギリスにいつかまた行きたいと考えている。音楽を体全体で楽しめるような気がするのだ。

Banoffee Pie バノフィーパイ

イギリスに暮らした2年半の間、日本に比べては決して食生活には恵まれなかったかもしれないが、時が経つとともにスーパーでは自分でよく使う食材や調味料、よく買うワインやビールが登場するようになったものだった。
それらを思うと今度は日本に戻ってきてから、イギリスの食生活が恋しくなる。困ったものです。

イギリス人も実に多様な物を食べる人種なので(個人差は日本より大きいかもしれないが)、外に出かけて食事をするにしても、スーパーで何かを買って自炊するにしても、なにか特有の食べ物に偏ることはなかったと記憶している。日本にはなかなかない食材だって、近所で手頃な値段で売られているのだから、イギリスでしか作れない料理だってあるのだ。



イギリス料理、というとお決まりのFish & Chipsが頭に浮かぶかもしれない。
もちろんどのPubへ出かけてもそれはメニューにあるし、日常的にもよく食べられているものだと思う。本当はもっといろいろイギリス料理は存在するが、あまり知られていないし、イギリス人にとってはそこまで広めようという気持ちもないのかもしれない...。



そんな中で、私が今でも、ときたま食べたくなるのはBanoffee Pie(バノフィーパイ)というものだ。
パイといっても料理ではなくお菓子で、パイというよりはタルトである。イギリス生まれのデザートであり、何故かイギリス国外ではあまり知られていない。イギリス国内だと、TESCOのような一般的なスーパーで普通に売られているし、カフェで出しているところもたまにある。



どういうものかというと、「バナナ+トフィ(キャラメル)=バノフィー」ということで、タルト生地の上にトフィー、バナナ、さらにその上に生クリームが乗っかり、ものによってはナッツや粉砂糖、チョコレートをまぶしたものがある。
考えただけで甘そう・・・と思うかもしれないが、なるほど甘い。けれども、場所によっては甘さ控えめで実においしいBanoffee Pieを出すところもある。要は、どう作るかだ。



話は少しズレるが、日本に帰ってきてからは神奈川県のとある場所の割と大きなシェアハウスで、約十数名の多国籍老若男女と共同生活を送っている。
これがなかなか楽しくて、仲良くなると一緒にご飯を食べたり、映画を見たり、出かけたり・・・となる。それは後日またゆっくり書きたいと思うけれど、実は先日、同じシェアハウスに暮らすインドネシア人の女の子の誕生日だったので、リビングで仲の良いハウスメイトたちとささやかながら彼女の誕生日を祝うことになり、なにを思ったか、私は自分でBanoffee Pieを作ってみてしまった。その様子は以下のような感じ。



レシピ

  • クッキータルト(市販の18サイズ使用)
  • バナナ2-3本
  • コンデンスミルク(練乳)1缶
  • ホイップクリーム 適量
  • ビターチョコレート 適量
  • お好きなナッツ 適量

1. 缶入りのコンデンスミルクを2時間半、缶のまま沸騰したお湯で茹でる
2. 焼き上がっているタルト生地に1を流し込んでしばし冷蔵庫で固める
3. 2の上にカットしたバナナを並べる


3の段階


4. 3の上にホイップクリームを絞る
5. 4の上に刻んだビターチョコレートとナッツを並べる


できあがり


1の過程を除けば驚く程簡単に出来てしまうこのデザート。シンプルでイギリスらしい。

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それでは、ハッピーバースデー。




イギリスの味をちょっとだけお裾分け。

なによりも、彼女と、周りのみんなが喜んでくれたので、よかった。



本当はクリスマスには七面鳥か鶏の丸焼きでも作るか、と思ったけど、その前にこのお家を去らねばならなくなったのです。残念だけど、それはまたいつかにとっておきましょう。

お仕事がきまりました。

夏。
思えば春はあっという間で、気づいたら蝉の鳴く季節に。と思ったら、もう今度は秋が近づいている今日このごろ。まずは第一歩、日本でのお仕事が決まりました。いろんなシーンに関わって都市をつくれそうな、場所です。

4月。自分のやりたいことがよくわからなくなった。焦燥。
5月。とりあえずの目標を立てる。一方で、将来的に"自分自身"がやりたいことが決まる。希望。
6月。とりあえずの目標に突っ走って、3戦中1勝2敗。忍耐。
7月。就活再開。いろんな仕事をみて、いろんな人に出会って、運命的にとある場所から内々定を頂いた。希望の、開花。

帰国して以来自分の人生についてとてもとても考えたし、その中でいろんなことに希望を抱き、いろんなことを諦めた。その、繰り返し。

さいころから、諦めることが苦手で、いつも何かしら目標にひっついていたような。
でも、追いつめられると自分の判断力は鋭くなり、就活を5、6月とお休みしてからの7月の就活では自分のことが以前よりよく分かってきていて、企業選びも面接対策もさほど神経を使わずに済んだ。自然にことが進んだのだ。

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日本の就活スタイルや新卒採用の体系に批判がある中、実は日本の就活って、一生を決める大きな賭け事にものすごく時間をかける時期でもあるから、若者が自分と真剣に向き合うよい機会にはなるな、と自分なりに納得した。

ここで少し二つの国の就活の違いについて述べておきたいのだけれど・・・

少なくとも英国で就活したときは、ポジションの募集広告を見ては何通もCVを送り、返事を待つということしかしていなかった。(人材紹介エージェントを通す就活もある。しかし自分のような日本人が使うエージェントの先にいるのはたいてい日本企業の現地オフィスなので、恐らく英国人の学生の一般的な就活とはかなり異なる。)

新卒であろうが中途であろうが、気に入らなければ、1年くらいで辞めて他へいけばいいというくらいの気持ちで企業に入る若者が大半である印象だった。
もちろん、長期的な雇用を求める人が多いことも確かなのだけれど、そもそもそういうポジションが多いかと言えば決して日本ほどではなく、予め雇用期間が定められていて、それ以降は場合によるということが多い。そういうもんだ、という考えで皆就活をする。

自己分析や自己PRのネタを考えては四苦八苦している学生はほとんどいない。就活対策本も書店に並んでなんかいない。リクルートスーツを来た学生が集団で説明会へいく風景もない。
面接だって個人面接が大半だ。電話面接を用いる企業もかなり一般的だ。

日本の一般的な生活と英国の一般的な生活の違いがたくさんあるように、就活の仕方に違いがあることには特別不思議な感情は覚えない。ただ違うのだ。どちらが正しいとかはきっとない。それぞれの企業のやり方があっていいと思うが、日本企業の性質的にやりやすい方法が今の現状の中にあるやり方なのだろうなと思う。
もちろん↑に書いたことは多国籍企業や本社機能が海外にある場合はきっと事情は異なるけれど、それにしたって昨今言われているような「日本のような就活は間違っている」とか「新卒一括採用はやめるべきだ」とかいうことは、一概には言えないように思える。その企業にとって一番効率的だと思う方法で人を採用するべきなのだろう。

ただ、大学院既卒で25歳オーバーの自分としては、もう少し採用の対象条件を広げてくれてもいいのではないか、と日本の企業に対して思うことは多々あったけど・・・。経験を問わないのなら、「条件」ではなくて、もう少し人そのものを見てくれない?とね。

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8月。相変わらずアルバイトをし、久しぶりの日本の夏を、ロックフェスにいったり、花火大会へ出かけたり、バーベキューをしたりして過ごしている。うだるような暑さの日々にはちょっと身体がなかなかついていかないけれど、日本で社会に出る前の最後の長い休暇だと思って、思いっきり楽しんでいる。

しばしの、休息。

自分の情熱って?

日本に帰ってきてしばらく経つのだけど、実はまだ就職活動が終わっていない。

イギリスに比べて新卒(というか、卒業後に就業経験が無い人)向けの求人が多くて初めはむしろ感激に近い感情を覚えたけれど、同時にまだまだ既卒者へのチャンスは少ないことも知る。
日本での就活のイロハはよく分からないので、かなり自己流でやっているだけに失敗も多いし、一方で意外と書類選考を通して頂けることもある。なにがいいかなんて本当に信じられるマニュアルはないのだろうな、きっと。

さて、とある企業の二次面接で「あなたから、うちに来たいという情熱がね、あまり感じられない。本当は違うことがしたいのではないのかな。」とコメントされてしまったことがあった。
ネームバリューがあり、イギリスにもある会社、とだけで選んだメーカーの営業ポジションだった。
面接していただく方々は皆とても頭が切れて、人間的に尊敬できるなと感じて選考を進めていた部分もあった。
でもそうだな、そういえば自分がやりたいことを軸にするのをすっかり忘れていた。

毎日、いろいろな情報をとりいれようとするのだけど、英国のPlanning Resourceだったり、ガーディアン誌の建築情報欄、Telegraph誌の商業関連の記事を読んだりで、そうか、根本的な興味はそこにあるとすぐ思い出した。


The GuardianのArchitectureのページは大好きで、よく眺める


やはり、学んできたことを少しでもきっかけにした仕事がよいのだろうな、とあっさりと考えを改めた。それがごく最近のことで、そしてその第一戦目は先日受けた二次面接で敗退した。
その後はこれから応募。オファーがもらえるかは分からない。でもきっとわくわくしながらまたCVを出すのだろうな。もう少し、具体的に、でも簡潔に、自分の夢を語る訓練が必要なのかもしれない。これも最近気付いたことなのだけど、スーツを着て面接で話すことはあまり得意ではない。緊張でいろいろ話しすぎてしまう。
その辺のバーでお酒でも傾けながら面接してもらえたら助かるのにな。とその都度思うのだけど、そういう企業はないのかな。なんて。

どうやら今現在NYで面白いプロジェクトが動いている様子だ。後日それをここで紹介したい。

帰国して4ヶ月も経ってしまった

さてもう日本に戻って4ヶ月も経ったことだし、自分の現状や最近の関心ごとを書くときがやってきたように思う。

日本に帰ってきてからのはじめの2ヶ月くらいは、そうだな、やはり気分はどこか沈んでいた。帰ってきた、ではなく帰ってきてしまったと思ったものだった。

決して100%望んでの帰国ではなかった。人生の妥協だったとも言えるかもしれない。でもね、実は帰ってきたことを後悔することはかなり少ない。今、イギリスにいても仕方が無いことを知っているし、いろいろな意味で日本はやはり自分の国だと感じる。それに関しては一言で説明できることが少ないので、これから少しずつ書いていくとしよう。

イギリスは、四季はある国だが日本とはまたちがう四季を感じさせてくれていた。
そういえばイギリスに桜みたいなものは咲いていたけど、ソメイヨシノではないようで、やはり何かが違っていた。3年ぶりとなる日本の桜。長い冬が終わって東京では3月から4月に暦が変わるくらいに開花。暖かい4月の初めに中目黒まで足を延ばしてみた。平日だというのに多くの人で賑わっているのが見えて、東京の平日の不思議も同時に味わう。


目黒川の桜


確かに桜は美しい。だけど何度東京の桜観てもやはり、地元は青森の、弘前公園の桜には勝るまいと思った。
ゴールデンウィークは青森に少しだけ帰るので、弘前の桜も拝んでこなければ。


桜色のシャンパンに桜の花びらが自然に迷い込む、そんな芸を観ることが出来た

空港という場所

ヒースロー空港へ来るのは何度目かな。

気づいたら、何度もきていた。自分が、旅をするとき。大切な人が旅をするとき。今回は、後者。

ところは、ターミナル5。British Airways社がほぼ独占して使用するターミナルだ。
Richard Rogers Partnership社による設計、Arup社による建設というおなじみの建築。構想から2008年の完成まで20年近くかかったそうな。自分が産まれて大人になる間に、この建物はできた。





空港という場所は、飛行機という空間は、何か特別な雰囲気をもつ。

"あたりまえじゃない、これから行くのは、空よ。"


ターミナル5のチェックインカウンター前





でも、空に駅はない。窓のそとは、空。
途中下車する人を眺めることもなく、チケットを確認に来る車掌さんも、いない。
沢山の人と旅をしているはずなのに、何故かな、心はずっとひとりぼっちみたい。




空港から旅立つ人は、電車よりずっと遠くへいってしまうから、空港での別れは、駅での別れよりもずっと重く、哀しく感じる。相手のからだだけでなく、心までも、どこか遠くへ連れ去っていってしまうような。





The interchange plaza, London Heathrow T5




はじまりと、おわりの場所。
君はよくここで煙草を吸っていた



あなたの行き先はどちら?




セキュリティゲート前のクリスマスツリー



またきっと、会えるね?